なしえが歩んできた道 〜教育現場で働く方へ伝えたいこと〜
私は中学時代、クラスメイトからのいじめに遭いました。それが原因で何度も命を絶とうとするくらい、壮絶ないじめだったのです。
いじめが始まってから3か月ほどたったとき、私は意を決して担任に相談しました。当時私の在籍していた学校では、「毎日の記録」という日記を毎日提出していました。その日私は日記の代わりに、先生への手紙を書きました。「助けてください」という言葉で結ばれた手紙です。残念ながら、その手紙への返信はありませんでした。
翌日私は担任から呼び出されました。やっと助けてもらえる。安堵して泣きそうになりながら、担任の元へ向かったのです。私の顔を見るなり担任は、私に向けて言葉を放ちました。「こんな嘘をつくと、成績を下げるよ」と。鬼の形相でそう言われたのです。
いじめの主犯格である生徒たちは成績がよく、運動も得意。クラスをまとめて引っ張っていくような存在の人たちでした。だから、担任は騙されていたのです。そして、自分のお気に入りの生徒を侮辱したということで、担任からもひどい扱いを受けるようになりました。
私は両親に言えませんでした。一般論として聞いたとき、「いじめられるほうにも原因がある」と言われたからです。私にも悪いところがある。私が悪いからいじめられる。私はいつからか、自業自得なのだと思うようになりました。そして何度も自殺未遂を繰り返しながらも、誰にも言えずに中学校を卒業したのです。
もしかしたら、私に発達障害の特性があるから、相手に嫌な思いをさせていたのかもしれません。嫌われて当然の振る舞いをしていたのかもしれません。だけど私には、声を大にして言いたいことがあります。これだけは伝えさせてください。「いじめるほうに問題があります」。私も以前はこの考え方に懐疑的でした。だけど今なら分かります。嫌なら離れればいいだけ。どんなに嫌な思いをさせられても、それがいじめていい理由にはならないのです。
当時の私には、味方が一人もいませんでした。そして助けを求めたにもかかわらず、差し出した手を振り払われた。さらにその手を傷つけられてしまいました。
教育に携わる方たちにお願いがあります。子どもの声を聞いてあげてください。言葉を受け止めてあげてください。あなたの私情を挟むことなく、子どもから発せられた「助けて」という心の叫びに、応じてあげてほしいのです。私のような悲劇を繰り返さないため、 どうかよろしくお願いします。
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